終わりの始まり 惑星状星雲の出現
やがて太陽は赤色巨星として大きく膨らみきると、その外層を宇宙へと吹き飛ばします。
残された中心核からは強い紫外線が放たれ、広がっていったガスをやさしく照らし出します。
こうして生まれるのが、美しいガスの殻「惑星状星雲」です。
虹色にきらめくベールのように広がるその姿は、まるで宇宙に咲いた花火のよう。
寿命は数万年ほどと短いですが、星が最後に見せる、華やかな舞いに見えませんか?
宇宙トリビア
ちなみに『惑星状星雲』という名前は、昔の天文学者が小さな望遠鏡で見たときに、丸い形が惑星に似ていると思ったことから付けられたのです。実際の惑星とはまったく関係がありません🤭

参考
・天文学辞典 「惑星状星雲」
・Wikipedia 「惑星状星雲」
太陽の芯 白色矮星の姿へ
そして中心に残るのが、太陽の芯、白色矮星です。
地球とほぼ同じ大きさにまで縮んでしまうのに、その中には現在の太陽の半分以上の質量がぎゅっとつまっています。
外層を脱ぎ捨ててしまっても、太陽の芯は重いままなのです。
こうして太陽は、燃え盛る大きな星から、小さな白いダイヤモンドのような星へと姿を変えるのです。
補足:太陽の大きさの変化
🌞 現在の太陽は、地球の約109倍の大きさ。
🌞 約50億年後、赤色巨星になった太陽はさらに100倍以上にふくらみ、地球の軌道に届くほどになる。
🌞 外層を吹き飛ばし、白色矮星になると、地球とほぼ同じ大きさにまで小さくなる。
宇宙トリビア
白色矮星になった太陽の密度は驚異的で、スプーン1杯分で、ぞうさん1頭分の重さにもなります!

参考
・天文学辞典 「白色矮星」
・JAXA 「X線で白色矮星の重さを測る」
まだ見ぬ未知の星 黒色矮星への道のり
白色矮星は、時間とともにゆっくりと冷えていきます。最終的には光も熱も失い、灯りを手放した星、「黒色矮星」になると考えられています。
しかし、その道のりはあまりにも遠く、完全に冷え切るまでには数兆年から 数千兆年という、途方も無い時間が必要です。
宇宙の歴史はまだ138億年ほど。だから今は、黒色矮星はまだ一つも存在していません。
遥か未来、すべての星が静寂に包まれた宇宙の果てで、最初の黒色矮星が姿を現す……。
そんな遠い未来に今夜、少しだけ思い馳せてみませんか?
参考
・Wikipedia 「黒色矮星」
お嬢さまとルミリィの星語り

これが、太陽の壮大で長い長い人生の物語なのね……
とっても素敵だわ。

うん。太陽もやがて静かになって、白色矮星としてひっそり輝き続けるの⭐️

燃え尽きても、光を抱いているなんて……とても素敵ね。

そして遠い未来には黒色矮星になって、宇宙の夢の中で眠るの〜
ノクターン幻獣図鑑
星の光を追いかけた後は、そっと幻獣を探してみませんか?
夜想と空想が交差するノアリスの世界に住まう幻獣たち。
記念すべき第一夜の観測記録をお届けします。
第001項目 ネムリュカ

分類 空棲幻獣(くうせいげんじゅう)/微睡み属
別名 まどろみの空イルカ
体長 約4メートル(成体)/約1.2メートル(幼体)
質感 身体はもこもことした水綿繊維のような質感。雨粒に触れると一瞬だけ虹色に発光する。
生態
・ネムリュカは雨雲のすぐ上にだけ棲む幻獣です。
・晴れ間がのぞいた雲のすき間には、小さな保育所「ネムリュリウム」が存在するといわれています。
・成体のネムリュカは通常、単独行動を好みますが、子育て期だけはこの保育所に集まり、雲のふとんに包まれて子どもを育てます。
伝承
ネムリュカは彩雲の発生時刻と一致して姿を現すことがあります。
これは出産の兆候であり、彩雲を命のゆりかごとする儀式的な出産をするためだと伝えられています。
彩雲の光を浴びて生まれた子イルカたちは、その体にほのかな桃色の光彩を宿しているのです。
観測記録
観測日時:ある雨の日
観測場所:第7飛行船部隊《ミスティルテイン》・第2観測部屋
ある雨の日、第2観測部屋にて風紋解析中、ネムリュカの鳴き声を多数確認。
「ぷぅ……」と泡が弾けるような音、「きゅるきゅる……」と可愛らしい声で鳴く子イルカたち。
霧の幕の奥に揺れる、ピンクの尾びれ。
そこには彩りの揺れる小さな子イルカたちが、ふわりふわりと泳いでいました。
そして、先頭にはしっとりとした雨雲色の、大きな体をもつ親イルカの姿。
彼らは雲の上から地上を見せるように、「お散歩授業」をしていたのです。
記録者:スカイリレーター/ナオ・カイリ (『空綴り』より抜粋)
次回予告 劇的な星の最期 〜超新星爆発〜
数回にわたる太陽の生涯のストーリー。そしてやさしいネムリュカに出会った後に待っているのは……
次回予告:宇宙のビッグイベント、超新星爆発のお話です。

スターゲイザーさん。今日も遊びに来てくれて、ありがとうなの!
またここで会えたら嬉しいの⭐️


